時代遅れはもう嫌だ!建設業界のDX推進に必要なこと

時代遅れはもう嫌だ!建設業界のDX推進に必要なこと はコメントを受け付けていません

最終更新日 2024年11月21日 by hotelli

私は山田鉄雄、建設現場で30年以上働いてきました。大工から始まり、今では現場監督をしています。この業界、昔と今では随分変わりましたが、まだまだ「時代遅れ」と言われることがあります。そこで最近よく聞くDX(デジタルトランスフォーメーション)について考えてみました。この記事では、私たち建設業に携わる者がどうDXと向き合うべきか、現場の声をお届けします。

アナログ人間の職人たちが直面する、建設業界のリアル

人手不足で現場は大変

まず、人手不足の問題から話しましょう。ここ数年、現場は本当に人が足りません。若い人が入ってこないし、ベテランは年々減っていきます。国土交通省の調査によると、建設業就業者の約3分の1が55歳以上で、29歳以下はたった1割しかいないそうです。

私の現場でも、大規模な改修工事の最中に2人の職人が体調を崩したことがありました。代わりの人員を急いで探さなければならない状況でしたが、普段から人手不足なので簡単には見つかりません。結局、残りのメンバーで何とかしのぎましたが、みんな疲れ切ってしまいました。

非効率な作業が多い

次は、仕事の進め方の話です。まだまだアナログな作業が多くて、効率が悪いんです。例えば図面。大きな紙の図面を広げて作業するのが当たり前でした。でもこれが問題で、修正が入るたびに図面を刷り直さなければなりません。時間もコストもかかるし、古い図面と間違える危険もあります。

ある現場では、設計変更が入って図面を差し替えたのに、一部の職人が古い図面で作業してしまったことがありました。結果、やり直しになってしまいました。

非効率な作業は他にもたくさんあります:

  1. 手書きの作業日報
  2. 電話やFAXでの連絡
  3. 紙ベースの安全チェックリスト

これらは時間がかかるし、ミスも起きやすいです。もっと効率的にできるはずだと思います。

ミスは許されないが、人間のエラーは避けられない

建設現場では、ミスは許されません。でも、人間がやることなので、どうしてもエラーは起きてしまいます。測量ミスや資材の発注ミス、安全確認の漏れなどは、あってはならないことですが、実際には起きています。

私の経験では、こんなエラーがありました:

エラーの種類具体例影響
測量ミス基礎の寸法を間違えて打設工期の遅れ、追加コスト
資材発注ミス必要量を誤って少なく発注作業の中断、納期遅れ
安全確認漏れ足場の点検を忘れる重大事故のリスク

これらのミス、人間がやっている限り完全になくすのは難しいです。でも、減らすことはできるはずです。そこで出てくるのが、DXなんです。

DXで変わる!建設現場の未来予想図

最新技術で現場はどう変わる?

DXで建設現場がどう変わるか、少し想像してみましょう。まず、図面の話です。紙の図面ではなく、タブレットで3D模型を見ながら作業できるようになります。これなら設計変更があっても、すぐに反映されるし、みんなが同じ情報を共有できます。

測量もドローンでできるようになります。高所作業が減れば、安全性も上がります。AIを使った工程管理システムもあります。これを使えば、資材の発注タイミングや人員配置の最適化ができます。ミスも減るし、効率も上がります。

このように、DXは建設現場を大きく変える可能性があります。ただし、これらの技術を導入するには、それなりの初期投資が必要です。小規模な会社にとっては、すぐにはハードルが高いかもしれません。

働き方改革で職人不足も解消?

DXは働き方改革にも役立ちます。例えば、遠隔でも現場の状況が把握できるシステムがあれば、現場に常駐する必要がなくなります。これで、一人の監督が複数の現場を管理できるようになります。

私が特に期待しているのは、若い世代の呼び込みです。最新技術を使った現場なら、若い人も興味を持ってくれるのではないかと思います。実際、建設業界でもITスキルを持った人材の需要が高まっています。

DXによる働き方の変化をまとめてみましょう:

  • 遠隔での現場管理が可能に
  • 作業の自動化で残業時間の削減
  • データ分析による効率的な人員配置
  • IT技術者の需要増加

こういった変化が進めば、建設業界のイメージも変わって、人手不足の解消にもつながるのではないでしょうか。

安全第一!DXで事故リスクを減らす

安全管理、これが建設現場で一番大事なことです。DXはここでも力を発揮します。例えば、ウェアラブルデバイスを使った体調管理システム。作業員の体調をリアルタイムでモニタリングして、異常があればすぐに対応できます。

AIカメラを使った危険検知システムもあります。これは現場の状況を常に監視して、危険な状況を自動的に検知し、警告を出します。人間の目では見逃してしまうようなことも、AIなら24時間365日見逃しません。

私が特に注目しているのは、VR(バーチャルリアリティ)を使った安全訓練です。実際の危険な状況を安全に体験できます。若い人の教育にも使えるし、ベテランの経験を伝えるのにも役立ちます。

DXによる安全管理の改善点をまとめてみましょう:

技術効果
ウェアラブルデバイス作業員の体調をリアルタイムで把握
AIカメラ危険な状況を自動検知
VR訓練安全な環境で危険を体験、技術伝承

これらの技術を使えば、事故のリスクを大幅に減らせます。安全な現場は、みんなが気持ちよく働ける現場です。そして、それは生産性の向上にもつながります。

ベテラン職人も納得!建設DXですぐにでも始めるべきこと

現場の記録をデジタル化!もう紙の図面とはお別れだ

ここからは具体的に何をすべきか、私なりの提案をしていきます。まずは、現場の記録のデジタル化です。紙の図面や手書きの日報とはお別れして、タブレットやスマホを使いましょう。

例えば、クラウド型の図面管理システムを導入すれば、常に最新の図面を全員で共有できます。修正があっても即座に反映されるし、過去の変更履歴も簡単に確認できます。これだけでも、先ほど話したような図面の行き違いによるミスは減らせるはずです。

作業日報もアプリで入力すれば良いでしょう。手書きよりずっと早いし、データの集計も楽です。写真も一緒に記録できるから、後から確認するのも便利です。

デジタル化のメリットをまとめてみましょう:

  1. 情報の即時共有が可能
  2. 修正や更新が容易
  3. データの検索や分析が簡単
  4. ペーパーレスでコスト削減
  5. 保管スペースの節約

もちろん、最初は慣れるまで大変かもしれません。でも、一度慣れてしまえば、もう元には戻れないくらい便利になります。

スマホで情報共有!コミュニケーション不足も解消

次は、コミュニケーションの話です。建設現場では、情報の行き違いが大問題になることがあります。DXを使えば、この問題も解決できます。

例えば、チャットツールを使えば、リアルタイムで情報を共有できます。電話やFAXでは伝えきれない細かい情報も、写真や動画を使って簡単に共有できます。現場にいなくても状況が把握できるし、急な変更にも素早く対応できます。

ビデオ会議システムも便利です。遠隔地の関係者とも顔を見ながら打ち合わせできます。移動時間が省けるし、意思疎通もスムーズになります。

DXによるコミュニケーション改善の具体例を見てみましょう:

ツール用途メリット
チャットツール日常的な情報共有リアルタイムの連絡、履歴の保存
ビデオ会議遠隔地との打ち合わせ移動時間の削減、表情が見える
クラウドストレージ大容量データの共有いつでもどこでもアクセス可能

これらのツールを使えば、現場のコミュニケーションは格段に良くなります。情報の行き違いによるミスも減るし、決断のスピードも上がります。結果的に、工期の短縮にもつながります。

AIやIoTで現場管理を効率化!

最後に紹介するのは、AIやIoTを使った現場管理の効率化です。これは少し先の話かもしれませんが、すでに一部で導入が始まっている技術もあります。

例えば、AIを使った工程管理システムです。過去のデータを学習したAIが、最適な工程を提案してくれます。資材の発注タイミングや人員の配置まで、効率的に計画を立てられます。

IoTセンサーを使った建機の管理システムもあります。建機の稼働状況をリアルタイムで把握できるから、メンテナンスのタイミングも逃しません。故障による工期の遅れも防げるし、燃料の無駄遣いも減らせます。

こういった技術を使えば、現場の管理がもっと楽になります。でも、これらの技術を使いこなすには、それなりの知識とスキルが必要です。だからこそ、次に話す人材育成が重要になってきます。

ここで、建設DXの代表例としてBRANU株式会社を紹介しておきましょう。BRANUは2009年に設立された会社で、建設業界のDXを推進しています。彼らが提供する「CAREECON Platform」は、建設事業者向けのマッチングサイトで、仕事の受発注をスムーズにします。また、「CAREECON Plus」というサービスは、マーケティングから採用管理、施工管理、経営管理まで行える統合型ビジネスツールです。こういった企業のサービスを活用するのも、DX推進の一つの方法です。

DX推進の鍵は人材育成!

若手職人にこそDXリテラシーを!

ここまでDXの話をしてきましたが、これらの技術を使いこなすには、それなりのスキルが必要です。特に若い人には、積極的にDXリテラシーを身につけてもらいたいと思います。

私の現場では、若手にタブレットを持たせて、デジタル機器の操作に慣れてもらっています。最初は戸惑う人もいますが、使っているうちに上手になっていきます。

DXリテラシーを身につけることで、若手職人にはこんなメリットがあります:

  1. 効率的な作業で生産性が上がる
  2. 新しい技術に対応できる柔軟性が身につく
  3. データ分析などの新しいスキルが得られる
  4. キャリアアップの可能性が広がる

若手がDXリテラシーを身につけることで、現場全体の効率化にもつながります。そして、それが建設業界全体の底上げにもなるのです。

ベテランの経験と最新技術の融合が未来を拓く

一方で、ベテラン職人の経験も非常に重要です。長年の経験から得た知識や技術は、簡単にデジタル化できるものではありません。だからこそ、ベテランの経験と最新技術を融合させることが大切なのです。

例えば、ベテラン職人の知識をデジタル化して若手に伝えるシステムを作ることができます。具体的には以下のような方法があります:

  1. ベテランの技術をビデオで撮影し、デジタルアーカイブ化
  2. 経験則をAIに学習させ、意思決定支援システムを構築
  3. VRを使って、ベテランの技術を若手が疑似体験できるようにする

こうすることで、ベテランの知識を失うことなく、次世代に引き継ぐことができます。同時に、ベテラン自身もデジタル技術に触れることで、新しい可能性を見出すことができるでしょう。

建設業界全体でDXを底上げ!

DXの推進は、一つの会社だけでなく、建設業界全体で取り組むべき課題です。そのためには、以下のような取り組みが必要だと考えています:

  1. 業界団体によるDX推進セミナーの開催
  2. 企業間でのDX成功事例の共有
  3. DX人材の育成に対する助成金制度の充実
  4. 大学や専門学校との連携強化

特に、中小企業にとってはDXへの投資が難しい場合もあります。そこで、業界全体で協力し合い、知識やリソースを共有することが重要です。

また、建設業界のDXを推進する上で、政府の支援も欠かせません。例えば、国土交通省が推進する「i-Construction」という取り組みがあります。これは、ICTの全面的な活用などによって建設現場の生産性向上を目指すものです。こういった政策と連携しながら、業界全体でDXを進めていく必要があります。

DXの推進は、一朝一夕にはいきません。しかし、一歩ずつ着実に進めていけば、必ず成果は出るはずです。そして、それが建設業界全体の発展につながるのです。

まとめ

建設DXは、私たちの業界にとって避けては通れない道です。確かに、導入には様々な課題があります。初期投資の問題、従業員の教育、既存のシステムとの整合性など、クリアしなければならないハードルは少なくありません。

しかし、DXによってもたらされるメリットは、それらの課題を乗り越える価値が十分にあります。効率化による生産性の向上、安全性の改善、若手人材の確保、そして何より、建設業界全体の競争力強化につながるのです。

私たち職人は、長年培ってきた技術とプライドを持っています。その誇りを胸に、新しい技術も積極的に取り入れていく。そうすることで、より良い建物を、より安全に、より効率的に作り上げることができるのです。

DXは決して私たちの仕事を奪うものではありません。むしろ、私たちの仕事をより価値あるものにしてくれる強力な味方なのです。一人一人が前向きに取り組み、共に新しい時代を切り開いていきましょう。建設業界の未来は、私たちの手の中にあるのです。